今年の夏も暑かった。京都の夏は盆地特有の重苦しさが付きまとうが、それに加えて今年も去年と同じようにマスクによる暑さもあった。しかし9月に入った途端、あの熱気が嘘のように消え、眩く儚い秋が訪れた。鴨川の水面が美しく光っていた。
ここで少し時を戻す。去る某日。夏のど真ん中のその日に、驚くべきメールが届いた。
<電子レンジのマイクロ波を遮断する商品〉を企画中である株式会社スバルの青木氏だ。
※【前回までのお話はこちら】
「自宅の電子レンジで、マイクロ波遮断の実験を行いました」
その文言とともに、「青木の実験日記」と名付けられたファイルも添付してあった。私は一日のほとんどの時間をパソコンとスマートフォンとともに過ごしているわけだが、こんなにもデータを開く指が震える瞬間があっただろうか、いや、ない。でも開封したくてたまらない自分がいることも確かに感じていた。人間は、常に二律背反な生き物なのだ。
ということでこの第3章では、青木氏から送られてきた実験日記の内容を抜粋して紹介しよう。
-仮説と可能性をさぐる-
まず調査や研究の前に自分ではこれはこうすれば可能であると仮説を立てた。
①電子レンジの窓は内部が覗けるが内部に発生したマイクロ波はガラスを突き抜けず人間に当たらない。
②これはガラスに接合された網状の鉄素材によりマイクロ波はそれを突き抜けない理論による。
③それならばレンジ内部でも金属類(メッシュ素材)はマイクロ波を遮断することができるはず。
④ならば薄くて安い素材「金属で電導率の良いものやカーボンなどでシールドが作れる可能性がある」
——青木氏の実験日記より抜粋——
これは青木氏の実験日記の一部であるが、我々みん100に正式に声をかける前に、独自にスバル社内で綿密な仮説形成が行われていたことが読み取れる。
お弁当 VS アルミホイル
・「金属を電子レンジに入れてはいけない」それを知りつつ実験を行う。
・金属の端に電子が溜り放電したりして火花が出るとの文献や注意書きあり
・アルミホイルをなるべくグシャグシャにせず、角を丸くハサミで切った(70×50mm)
・お弁当の蓋をしたまま、端っこにあるお漬物の蓋の上に作ったアルミホイルをそっと乗せた
・作動時間を60秒にし、スタートボタンを押す。
・中の様子を覗いたが火花は一切出ていない。
・チン!
・恐る恐る中身を取り出す。
・アルミ箔は熱くなっておらず、焦げてもいない。
・お弁当の蓋を開けお漬物を食してみる
・温かい。
・・・「あかんがな!全然!」
結果:アルミホイル1枚ではマイクロ波遮断は全く出来ないことが分かった。
——青木氏の実験日記より抜粋——
なんと青木氏、アルミホイルを電子レンジで温めるという禁じ手に真っ向から挑んでいた。
危険なので絶対にマネしないでください
さらなる検証
・実験①ではアルミ1枚だった。薄かったのかもしれない。そこで今回は4枚を重ねてみる。
・前回同様アルミホイルをなるべくグシャグシャにせず、角を丸くハサミで切った。サイズは少し変更(50×80mm)
・今回はお弁当の蓋を開け、「酢の物」の上に直接乗せる。
・電子レンジ作動時間は前回同様60秒。
・回転中アルミ箔に変化はない、火も出ていない。
・チン!
・蓋を開けアルミ箔をつまみ出す。アルミ箔は熱くない。
・酢の物を食す。
「暖かい酢の物」ツーンと来る酢の香り(涙)
結果:アルミ箔程度の厚みではマイクロ波を遮断出来ないようだ。
さらなる仮説:マイクロ波は横からも届いているのかもしれない。
——青木氏の実験日記より抜粋——
禁じ手に再挑戦した青木氏。しかし結果は無残なものに。(涙)の文字が悲しく揺れている。
さらなる材料を求めて走り出さなければならない
跳ねるような勢いで立ち上がった青木氏は、まるでロケットエンジンのごとく外へ飛び出した。その跡には、グシャリと握りつぶされたアルミホイルが哀しそうに転がっていた。
と、いうのはまるで私の想像であるが、彼が次なる実験の準備へとすでに取り掛かろうとしているのは間違いないだろう。
To be continue…SOON!
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