気が付けば季節はすっかり冬である。この連載が始まってからふたつの季節が通り過ぎた。その間に、スバルの青木氏はみん100と共に「ガイアの夜明け」(テレビ東京系)に出演するなど、この2021年の転機を歩んできた。そしてもう、今年は終わる。
その裏で、マイクロ波を遮断する実験も粛々と継続していた。今回はその後編をお送りしたい。
(前編はこちら)
-実験用具・番外編-
・実験用に可能性のあるものをたくさん買った。計測機材類も用意した。
・温度計・アルミカップ小・アルミカップ厚手・ステンレスカップ・ブリキ灰皿・揚げ物すくいワイヤーネット・シートマグネット・レンジで焼き魚発熱シート・仕切りの多いお弁当入れ・紙粘土etc
実験の材料を追加購入した青木氏。個人的には「ブリキ灰皿」が非常に気になるアイテムだ…
マイクロ波を遮断すると仮定したさまざまな素材での検証
【何もしない状態】
陶器のお猪口に15ccの水を入れ温度を測ってから500Wで60秒温める
→温度を計る水の温度28℃→そのまま電子レンジで温めると89℃
【各種検証】
①同容器に15ccの水を入れ、上部にアルミカップを丸く平らにし10枚乗せる(総厚さ0.3mm)
→温度を測る89℃
②同容器に15ccの水を入れ、上部にアルミ肉厚カップを10枚乗せる(総厚さ0.6mm)
→温度を測る89℃
③同容器に15ccの水を入れ、上部に金属網を被せる(ステンレス細目ネット)
→温度を測る89℃
④同容器に15ccの水を入れ、上部にアルミ製プリンカップを被せる(厚さ不明)
→温度を測る89℃
⑤45×75×18mmブリキ携帯灰皿缶に15ccの水を入れ、蓋を閉める(厚さ0.25mmブリキ板)
→温度を測る 10秒後蝶つがい部分から火花発生にて停止
⑥アルミ製プリンカップの中にお猪口15ccを入れ、上部にアルミ肉厚カップで蓋をした
→温度を測る 5秒後にカップとカップの接点部分から火花発生にて停止
⑦アルミホイルでお猪口15ccの全体を覆うように下部、側面、上部360°を包んだ
→温度を測る 5秒後にアルミの接点部分から火花発生にて停止
追加実験。そしてちょくちょく火花が発生している。ちなみに青木氏は後日zoomでこの現象を「スパークした」と口頭で説明してくれた。個人的にこの表現にめちゃめちゃ文学を感じた。
-実験結果-
「上部に被せた遮断物質(金属)の厚さ形状にかかわらずマイクロ波は遮断されなかった」
「側面からの遮断をプリンカップで試みたが遮断されなかった」
「下部も完全に覆うべく工夫をしたが金属の接点から火花が発生したのでレンジを停止し検証できず」
自宅の電子レンジ、家族に怒られないようにとひっそりと、かつ盛大に行われた実験はあえなく失敗に終わる。しかしここで諦める青木氏ではなかった…!
-次の課題と問題定義-
「火花が出ない素材で全体を覆う事ができれば遮断できるかの実験」→「仮に全体を覆う事で遮断できてもテーマの一部分の遮断が不可能になることの矛盾」
「電子レンジ開発者は全て均一に温める装置を目指したのであれば、それに逆らう一部分の遮断が果たして可能であるのか、次回実験以前に根本的な理論と技法を考案しなければならない」
すごい。もうこの文面だけを見ると、青木氏がプランナーからマッドサイエンティストに転職したのではないかと錯覚するほどだ。それだけ日々、自社の商品開発や改善に血と汗と涙を滲ませているのだろう…。この熱量と企業努力を愛と呼ばずになんと呼ぶのか、私にはわからない。
しかしながらこの『マイクロ波を遮断するフタ』は、衝撃のラストを迎えることとなる。
To be continue…
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